”食べ物にもったいないをもういちど” 食品ロス削減 その2
世界の食品ロスの現状
世界で生産される食糧は40億トン/年。
世界の人口約77億人を賄うには十分な量なのだが、
実際、9人に1人(約8億2,100万人)が飢えに苦しんでいます。
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、
世界では食料生産量の3分の1に当たる
約13億トンの食料が毎年廃棄されています。
(FAO・国際連合食料農業機関より)
<先進国の食品ロス>
― 原因
・生産段階で需要を超える量を生産(過剰生産)
・生産段階より加工段階や流通・消費段階が多い
・生鮮食品に対する「外観品質基準」に適さないと廃棄される
→リユース・リサイクルされない・・・コストがかかるため
・小売り段階では大量陳列と幅広い品数により、
消費されない食品が廃棄される。
― 対策
・過剰に商品を陳列しない
・マーケティングを行い、需要に合う品数を揃える
・買い物前に冷蔵庫の中身を確認し、過剰に購入しない
・家にある食品の消費期限をチェックする
・利用予定を立てる
・食品ごとの適切な保存方法をとる
・野菜を鮮度保持袋(ベジフレッシュ)で保存
・野菜を下処理して冷凍できるものは冷凍保存
・購入日の古い食材から使用していく
<途上国の食品ロス>
― 原因
・生産や加工段階での廃棄が圧倒的に多い
・収穫技術の問題で生産しても収穫しきれず腐って廃棄
・保存設備や加工設備が不足・・・貯蔵や加工できず廃棄
・輸送手段が整備されていない
・店舗が非衛生
・マーケティングシステムが不十分・・・必要な場所に行き渡らない
― 対策
・農業に対する技術支援
・インフラ・保存設備・加工施設等の整備
・生産段階・加工段階の改善
・マーケティングシステムの構築
さて、ここで「SDGs」を思い出してください。
SDGs = 持続可能な開発目標 でした。
そこに掲げられている17項目の目標に繋がっていきます。
食品ロスで廃棄された食品の処理は、
1.処理工場で可燃ごみとして処分
→ 運搬・焼却の際に二酸化炭素(CO2)を排出
→ 地球温暖化と同時に焼却後の灰の埋め立てによる
環境負荷が生じる
2.将来の人口増加
2019年 約77億人 → 2050年 +20億人=約97億人
人口増加に伴う栄養不足・・・貧困に拍車がかかる
単位:百万人 | 1950年 | 2017年 | 2030年 | 2050年 |
世界 | 2,536 | 7,550 | 8,551 | 9,772 |
アジア | 1,404 | 4,504 | 4,947 | 5,257 |
アフリカ | 229 | 1,256 | 1,704 | 2,528 |
欧州 | 549 | 742 | 739 | 716 |
中南米 | 169 | 646 | 718 | 780 |
北米 | 173 | 361 | 395 | 435 |
オセアニア | 13 | 41 | 48 | 57 |
単位:百万人 | 1950年 | 2017年 | 2030年 | 2050年 |
インド | 376 | 1,339 | 1,513 | 1,659 |
中国 | 554 | 1,410 | 1,441 | 1,364 |
ナイジェリア | 38 | 191 | 264 | 411 |
日本 | 83 | 127 | 122 | 109 |
食品ロス削減への取り組み
上記のことを踏まえ、いかに食品ロス削減が大切かということが
ご理解いただけましたでしょうか?
SDGsのターゲット 12.3
「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」
食品ロスの削減を通じてこのターゲットを達成させるために、
個人、事業者、自治体、NPO法人など、
さまざまな方面から協力しあって、
少しでも食品ロス削減を目指していきたいものです。
食品ロス削減推進法(正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)では、
毎年10月を食品ロス削減月間、10月30日を食品ロス削減の日と定めています。
改めて、食品ロス削減を考えるよい機会かと存じます。
次回の「生き生き情報」では、
この”食品ロス削減”をひとりひとりがどういう方法で
取り組んでいったらよいかのヒントをあげていきたいと存じます。
(資料 : 農林水産省・環境省・消費者庁・内閣府・経済産業省・文部科学省転載)
こちらから